1年が始まって最初のG1と言えばフェブラリーS。出ている馬が弱いのでレースとしての価値が低くG1から格下げされる可能性があるらしい。同時期にドバイワールドカップやサウジカップがあり、今年で言えばテーオーケインズがそっちに行ってしまうのでどうしてもメンバーの質が落ちてしまう。20年前のダートはおもしろかったのになあ。ダービーのようなレースを取れる馬至上主義である以上どうしてもダートや長距離の馬質は落ちてしまうのは仕方がないのだけど、なんだか切ない。
ぼやきは置いておいて、せっかくのG1だから当てようじゃないか。予想に入っていく。
フェブラリーSは東京ダート1600mという舞台。12月に行われるチャンピオンズカップは中京ダート1800mと、一見似たような舞台だが実は全く異なる性質が求められるので、チャンピオンズカップの上位馬がそのまま上位になったりしない。まあ勿論どっちでも来る強い馬はいるわけだけども。
フェブラリーSの傾向として、距離延長組よりも距離短縮組の方が成績が良い。
これは単純な話だと思っていて、ダートにおける短距離路線と中距離路線の力差の問題にある。今回のメンバーをみるとそういうわけでもなさそうだが、過去を振り返ると中距離路線がマス層で良い馬が揃っていた。そのため距離短縮組が強いのではなかろうか。
付け加えるとすれば、東京ダート1400mで勝ちきっても200mしか変わらない1600mだと気持ちスタミナが足りなくなるんだろう。これはレッドルゼルなんかに当てはまるのだが、レースのラップ的に1600mを走りきるのは短距離馬には厳しいんだろう。そこら辺をコースの特徴とレースラップ、あとは馬場の状況を見ながら考えていく。
まず、コースの特徴について。
(競馬ラボ - 予想に役立つ競馬情報が全て揃うポータルサイト 競馬ラボさんより)
東京1600mというコースは芝スタートで150m近く芝を走るのだが、芝でスピードに乗れなかったり出遅れてしまうと致命的な差になりかねない。ここまで勝ち上がってきている馬の多くは芝スタートを経験しているからあまり関係ない要素だが、地方馬なんかは芝に慣れていないためダッシュがつきにくい。
芝スタートの後、最初のコーナーまでは600mほどあり、その後緩やかなカーブを曲がる。スピードを落とすところがあまりなく基本的にペースが落ち着くことはない。
そして長い直線を走り抜かないといけないため、どうしても前にいる馬は息が持たなくなるし、距離が長い馬はガス欠を起こしてしまう。
過去のレースを振り返ってみよう。
2021年
200m:12.5(12.5)
400m:10.8(23.3)
600m:11.4(34.7)
800m:11.8(46.5)
1000m:12.0(58.5)
1200m:11.9(1.10.4)
1400m:11.9(1.22.3)
1600m:12.1(1.34.4)
勝ちタイムが非常に優秀。前半1000m58.5とかなりのハイペースだったが前々から抜け出したカフェファラオが押しきった。同じく前にいたワンダーリーデルも粘ったように、きつい展開にも関わらず前有利だったか。タイムが異様に出やすかっただけで、意外に展開としては楽だったのかもしれない。
2020年
200m:12.5(12.5)
400m:10.9(23.4)
600m:11.2(34.6)
800m:11.8(46.4)
1000m:12.3(58.7)
1200m:12.2(1.10.9)
1400m:11.9(1.22.8)
1600m:12.4(1.35.2)
2020年も前半1000m58.7とかなりのハイペース。逃げたアルクトスやワイドファラオは止まり、3番手から抜け出したタイムフライヤーも力尽きて5着まで。中団で我慢していたモズアスコット、ケイティブレイブがよく伸びて上位。2020年の展開が通常と見て良い。
2019年
200m:12.4(12.4)
400m:11.5(23.9)
600m:11.9(35.8)
800m:12.2(48.0)
1000m:12.2(1.00.2)
1200m:11.6(1.11.8)
1400m:11.4(1.23.2)
1600m:12.4(1.35.6)
2019年が最も例外。武さんのスロー逃げで結局インティが逃げ粘り。上位はコパノキッキング以外先行馬。かわいそうな藤田菜七子。
つまり、今年も武さんのスロー逃げになれば2019年と同様の展開になる可能性があるということ。
ついでに2016年。
200m:12.2 (12.2)
400m:10.8 (23.0)
600m:11.1 (34.1)
800m:12.0 (46.1)
1000m:12.3 (58.4)
1200m:11.9 (1.10.3)
1400m:11.6 (1.21.9)
1600m:12.1 (1.34.0)
直近で今年同様雨が降って重馬場になったケース。前半1000mはあまり変わらないが、終いまでしっかり脚を使えている。
モーニンが先行押し切り、ノンコノユメとアスカノロマンが最後追い込んできた。モーニンとノンコノユメは武蔵野Sでも成績と好タイムを出しており、同じ条件でも結果を残した形。
雨が降ったら近年よりも更に好タイムが出る傾向にあるということで、早く走れた実績がある馬や早く走れそうな馬は上位に考えて良さそう。
以下、G1なので一頭ずつ短評を乗せてから印を打つ。
1 テオレーマ
ダートで牝馬は買えないとされている。実際にここ20年くらいで牝馬で混合ダートG1を勝ったのがサンビスタだけで、あとは善戦止まり。筋肉量が牡馬より牝馬の方が少なく、ダート、特にフェブラリーSのようなG1では豊富な筋肉が求められるので普通であればこの馬は買えない。だが雨が降ると走りやすくなるので筋肉がそこまでなくとも早く走れるようになる。困った。
この馬は器用な馬で内からするすると抜け出すことができるタイプ。1枠1番は歓迎。雨が降って内有利になれば更にプラス。あとは力関係次第。今回メンバーが相当弱いのでこの馬でも着は拾えるかもしれない。当日の馬場次第では買い目を増やしたい。
2 ダイワキャグニー
内枠を引いたので前につけるか逃げなきゃいけない。ペースが緩くなれば逃げ粘る可能性は大いにある。怖いな。
3 インティ
歳を取って自在性が出てきた。衰えはない。たぶんキャグニーが逃げるから抑えるとおもうんだけど、どこまで後ろになるかが鍵。あんまり後ろだと話にならない。
4 アルクトス
この馬は2月のダートが得意ではないタイプで、フェブラリーSでは成績が悪かった。ところが今年は雨が降るのでこの馬の得意なタイプのダートになっている。南部杯の走破時計も優秀。雨が降らなきゃ切りたいけど、切れないな。ただ内枠はあまりよろしくないと思う。田辺が外に出すことができればおもしろい。
5 レッドルゼル
距離が長い。タイムが早くなるのは問題ないと思う。ロスなく運べれば頭まである。
6 カフェファラオ
東京ダート1600mが得意なタイプ。最近成績が芳しくないが衰えはない。得意ではない条件が続いていただけ。
ただ去年は展開が向いていた気もするので去年ほど走れるかというと疑問。あと鞍上の腕が気性の悪いこの馬に合ってなさそう。
タイムが早くなるのはこの馬にとってはプラスだが、いろいろマイナス要素はある。頭で勝負するのは怖い。
7 タイムフライヤー
衰えはないと思っている。前走と前々走は出遅れやクソ騎乗。ハーツクライ産駒だが、歳を取ってきてこれくらいの距離が良くなってきたし、タイムもそこそこ出せる方だと思っている。全く人気がないしおもしろいかもしれない。
8 サンライズノヴァ
東京ダート1600mは得意。展開さえ向けば。
9 サンライズホープ
距離が短いと思う。1600mは2回目。ただ、父はマジェスティックウォリアーなのでタイムが早くなっても問題なさそう。人気も全くないしおもしろい。
10 スワーヴアラミス
距離が短い。超ハイペースで前総崩れになったらいけるだろうか。それでもタイムが足りなさそうだなと思ってしまう。
11 ソダシ
テオレーマと一緒。この馬に関しては逃げる可能性まであるし、ハイペースが得意なタイプなので押しきってしまう可能性まである。チャンピオンズカップが、スタミナ切れというよりやる気をなくしたような印象がある。気性との相談なのかもしれない。軸にはしにくい。
12 ミューチャリー
芝スタートに対応できず良い位置で競馬ができないとしたら買えない。力は足りるのになあ。
13 ソリストサンダー
前走は距離。適条件に戻してどうか。相手が弱いしタイムが早くなっても問題ない。この馬がG1取れるかと言われると怪しいが、3着以内なら可能性が高いと思っている。
14 ケイティブレイブ
衰えたのだろうか。調教がひさびさによく走れているしブリンカーをつけた。怖いなあ。
15 テイエムサウスダン
距離が長い。ただ成長はしており、良い脚が使えるようになっていた。前走は展開がハマった側面があり、ここまで人気すると……とは思う。
16 エアスピネル
衰えはないし東京ダート1600mが適条件。鞍上はデムーロ。本命で買っていいくらいの馬。去年は内をうまく生かして2着に追い込んできたので、今回の大外がどう影響するか。
◎13ソリストサンダー:末脚勝負が得意なタイプで、前走は距離が合わなかっただけ。中団の位置を取れるタイプだし、どんな展開でも3着以内は見込めそう。
○5レッドルゼル:去年からローテーションを少し変えてきた。根岸Sを挟まず直行。根岸Sを挟むと馬が1400mの気分で走ってしまうことを嫌ったのだろうか。前述の通り、この馬には距離が長い。ただ実力面で言えばトップクラス。頭まであると思う。
▲16エアスピネル:この馬も東京ダート1600mが適条件。去年との大きな違いは鞍上がデムーロというところか。去年は直線で内から外に持ち出して2着。あれがこの馬のベストパフォーマンスかもしれないし、外枠で外々を回されながらも直線で楽に進路を確保できる今回がベストになるかもしれないし、そこはわからない。去年と同格のメンバーであれば、衰えていないこの馬を切るわけにはいかない。
☆7タイムフライヤー:オッズ妙味で選んでしまった。このメンバーであれば力は上位。鞍上の武史というのもプラス。陣営もこの馬の能力を見限ったわけではなさそう。加齢により競争馬は筋肉量が増えていく傾向にあるんだが、この馬も当然7歳だし筋肉が増えてきた。今となっては東京ダート1600mが適条件だと思っている。狙い目。
△1テオレーマ:1枠1番は絶好。調教も走れている。力関係とルメール次第。内有利になれば去年のエアスピネルのようになるかもしれない。
△4アルクトス:足抜きの良い馬場になったら切れない。スピード能力に長けた馬なので今回の条件では押しきれてしまうかもしれない。
△6カフェファラオ:去年の勝ち馬。結局この馬は気性次第。気性が激しいタイプなのでどっちに触れるかはわからない。頭では買いにくいなあ。
△9サンライズホープ:距離が短いと思うが、血統的にはこなせそうなので相手に。オッズ妙味のある馬。
△14ケイティブレイブ:遊び。外枠は良い。調教も良いし。がんばれ菅原くん。
正直どれが勝つかと言われると何とも言えない。どれが来てもおかしくない横一線。
あとはインティも入れるかどうかというところ。
スワーヴアラミスは早い流れが向いているのかどうか、イメージがわかない。ソダシは切りたい。テイエムサウスダンはさすにが距離が長いはず。
馬券の買い目としては、
ワイド:5,13,16 - 1,4,6,7,13,14,16
三連複:5,13,16 - 5,13,16 - 1,3,4,5,6,7,9,13,14,16
枠連:1,2,3 - 全通り
ワイド:1,7,9 - 3,4,5,6,7,13,14
複勝:14
一番堅いのは5,6,13とかかなと思う。そうなると遊びの馬券は減らさないと。フェブラリーS、難しすぎる。
がんばれ菅原くん。